2003年5月8日
絵の島だより・その8
沼津・新潟
三島・松之山
熱海・湯沢
まだまだ青春。

 報告が遅くなりましたが4月4日、春の青春18切符で小さな旅行に行ってきました。JR藤沢駅に出て、最初にきた電車に乗ろうと待ってると、入ってきたのが沼津行き、取りあえず席についてぼんやり車窓を見ながら西に向かいました。

 沼津に着いたのがお昼過ぎ、2、3分の待ち合わせで先に行く電車があったけど、ちょうど昼時だし、ここで下りて港に行くことにしました。駅前広場に出て港行きのバスの時刻を見ると30分後、別に急ぐ旅じゃなし、ぶらぶら港に向かって歩き出しましたね。半時間ほどで市場について金目の開きを2枚買い求め、食堂街の中の一軒の店に入りました。取りあえずのビールを頼んで、地魚の天麩羅とカサゴの煮付けを注文、お酒を2本飲んで店を出たのが3時半頃、港をぶらついてると伊豆半島行きの高速船が目にとまりました。

 昔はよく松崎から沼津までこの船を利用してたなあ。あれは急に伊豆の丁八美術館に行きたくなって、下田からバスで松崎に出て、鏝絵を見たり魚を食べたりして船で沼津に出て、また港の寿司屋に入って帰ってきたんだっけかな。ま、今日の旅は18切符の旅だからと船は諦めてバス停まで来ると、沼津駅行きより先に三島駅直通のバスが入ってきたので、それに飛び乗って三島駅までやって来ました。ここも前に急に柿田川が見たくなって来たことがありますよ。

 ぶらぶらしてると、街の人から三島大社の桜を見ていけといわれ、そこに向かいましたが、この街にいくつも流れている小さな川の水嵩の少ないのにちょっとびっくり。富士山の伏流水が涸れてきてるのかな。それにしても三島大社の桜は見事でした。で、次に乗ったのが熱海行き。とくればひとっ風呂浴びにゃあそんそんと駅前温泉に飛び込んだわけです。汗を流して町中に戻ると辺りは暗くなっておりました。金曜日の夕方だっていうのに繁華街には観光客の姿が全然見当たらないのには驚きです。けどわたしは、ネオン街の助けに少しでもなればと、一軒の飲み屋さんに腰を落ち着けておりました。で、いつ家に着いたのかよく憶えておりません。

 4月の8日、今度は新潟の山奥の松之山温泉に向かって江の島を後にしました。大船で湘南新宿線に乗り換えて大宮まで、そこから高崎線で高崎まで、そこからは上越線で水上まで、2分の乗り継ぎで越後湯沢へ、そこで次に進む電車まで三時間近くあるので、駅前の蕎麦屋で「へぎ蕎麦」を食べ、歩いて15分ほどの共同浴場の「駒子の湯」に浸かり、駅に戻って「ほくほく線」で松代へ、江の島を朝の8時に出て、迎えの車で宿に着いたのが夕方の6時、いやあさすがに疲れたなあ。

 高崎線の沿線では桜が満開でしたが、北に行くにつれだんだん寂しげな景色になってまいりまして、トンネルをぬけるとそこは雪国だった。桜なんて持ってのほか、コブシが寒さに耐えながら硬くつぼみを付けてるくらいで、墨絵の世界でしたね。一日のうちに、おなじ日本でこうも違う景色を見ることが出来るんですねえ。

 松之山温泉にはまだ雪が2メートル近く残っていまして泊まった宿が山の中の一軒家、温泉街には飲み屋が付き物と考えていたわたしが浅はかでした。まわりに何もなく、飲み屋もあるにはあるけど歩いて一時間だって。酔っぱらって真っ暗な雪道を歩いて帰るのなんてとても無理ですよ。で、温泉に入って食事をしても一度温泉に入って、静かに寝るより仕方がないです。

 次の日は、地方の市場が見てみたいというかみさんの希望を聞いて、朝6時起き(そうしないと藤沢までその日のうちに帰れなくなるから)、朝ご飯はおにぎりを作ってもらって松代からの車中でそれを食べ、六日町で上越線に乗り長岡へ、そこから信越線で新潟に。本町市場をぶらぶら見て歩き山菜などを買い求め、寿司を食べて、また乗り継ぎ乗り継ぎしながら江の島まで帰ってきました。新潟も何回も来たことがあるけど、寂れてきてますね。

 今回の旅で、どんどん地方が寂れてきてるなあと感ぜずにはいられなかった。10時間以上かけていった所を新幹線なら2時間ほどで着いてしまうんですよね。便利になるということは、何か大切なものをどんどん失ってるように痛切に思うんです。わたしはこれからも、歩く早さでずっと生きていこうと思うのです。