2002年11月17日
絵の島だより・その5
左・銀座8丁目お多幸
下・江の島はまゆう

おでんのおいしい季節になりましたね。

 寒くなると、おでん屋の店から漂ってくるにおいに、思わず暖簾をかき分けて中に入ってしまうのはわたしだけではないはず。おでんの鍋の前のカウンターに座わって、熱いおしぼりで顔を拭きながら、「熱燗に大根とつみれ」。出てくる間、おでん鍋から立ち上る湯気に顔をつつまれて待つあの時間の、なんとも心安らぐひととき、男に生まれて良かったあ〜としみじみ思うものです。

 屋台のおでん屋にも、よくいったなあ。昔、青山に事務所を持っていたころ、青学の前に出ていた屋台に夜中の2時頃よくいったものです。もう種も残り少ない鍋を覗いて、おでんを少しと、焼酎のおでん出汁割を頼んで、一時間ほど青山通りの車の流れを見ていましたっけ。寒うい夜ほど屋台の赤提灯って、あったかく見えるものですね。

 江の島に渡る橋の手前にも、おでんの屋台が何軒か出てますが、これから江の島の屋台に行ってみようと思う皆さん、風が吹いてきた日には覚悟して行ってみて下さい。一応、屋台は囲ってはありますが、なにしろ吹きっさらしですから、足元と背中がどんどん冷えてまいりますよ。お酒を熱燗以上に沸かしてもらっても、ついでもらうそばから冷たくなっていくのです。熱々のおでんを頼んでもすぐに食べないと、あっという間に冷たくなってしまいます。冬の江の島の屋台での食べ方は、熱燗はすぐに飲む、おでんは一、二品しか頼まない、これが鉄則です。食べたらまた一、二品頼めばいいことですから。お腹は熱くなってるのに、背中が冷え冷えなのってなんか変な感じですね。

 湘南にはもう一ヶ所、おでん屋さんが集まってるところがあります。わたしは東京で飲んで終電近辺の電車で帰るのですが、時々乗り過ごしてしまうのですね。それも一駅。だいたい藤沢を電車が出た途端に目が覚めるってのはなんででしょうねえ。辻堂駅で下りてももう上りは終わってるし、タクシー待ちのひとはずら〜っと並んでるし、酔った勢いで歩き出すわけです。海の方に向かって歩いていくんですが、三十分ぐらい歩くと134号線に突き当たるんですね。そこにおでん屋が4、5軒並んでるんです。もう夜中の2時過ぎですよ。赤提灯が呼んでいるのを横目にまた3、40分歩くと、ようやく家に着くのです。一度だけですよ、入ったのは。鯵のつみれがおいしかったけど。

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